最近俺は30万のアコースティックギターを音も聞かずに通販で買った。どうせ楽器屋で音を聴いてもわからないと思ったからだ。だが、買ってみて俺はもっとシャリーンという音がすると思ってたのに、そうでもなかったので、ちょっと悔しくて新宿にある近くの楽器屋で同じ価格帯のギターを弾いて違いを知りたいと思って行ったのだが・・・・。

結局ギターは試奏しなかった。その理由は、店員がずっと忙しそうにしていたからだ。こいつら誰一人として楽器を売る気がないと思った。最低限アラフォーらしきおっさんが、アコギの湿度が管理されてる部屋に来たら、あ、買うかも。と思って何を探してますか?くらい聞くだろ。そこにいた、20代と思わしきESP専門学校を出たばかりのような小僧は、あーでもないこーでもないと壁につるしたギターの位置を調整している。声をかけてもよかったが、迷惑そうなのでやめた。

そしてギターストラップでも買って帰ろうかと思ったら、普通に5000円オーバーな品ばかりで、ギターストラップで2000円くらいじゃなかったっけ?って思って買わなかった。こんなシンプルな構造の品で5000円取ろうとする姿勢に驚いた。逆に超シンプルでかっこいいものを1000円でオリジナルで作って売ったら売れると思うぞ。そういう工夫はできないか。それ以外にも先日Amazonで買ったベルデンのキャノンケーブルも倍くらいするのに驚いた。マイクケーブルに6000円って・・。

そして、ついでだから、以前こっぴどくディスったシンセコーナーに行ったら、案の定音がでない。しかも”音量注意!”なんてシールが貼ってある。ここは楽器屋じゃないのか?楽器屋で音出せなかったらどこで出すんだよ。笑うしかなかった。相変わらず売る気は無いらしい。楽器屋で試奏できなかったら、もうそこに存在理由ない。渋谷の鍵盤堂は絶対音出る。だから俺は鍵盤堂では買う。

かつて楽器屋というのは、若者にとってステータスだった。そこにいるだけで、何か自分は旅に出る勇者の旅支度をするかのような気分にさせてくれる。そんな場所だった。俺がよく学校をサボって通っていた地元のギターショップには、アラフォーの店長が、俺がくると「お!また来たな」とかいって、高いギターを触らせてくれてたものだ。俺は学校以外の居場所を楽器屋に見出していた。だから、今のこの楽器屋の凋落っぷりは悲しくてならない。

そんな昔話はさておき、20代のバカ店員が、今まさにそんなステータスに足を踏み入れたDTMやりたがってる若者に、オーディオインターフェースを勧めているのが見えた。これは「abletonliveがバンドルされているからいいですよ。すぐに認識しますし。」という声が聞こえた。いきなりabletonかジャンル選ぶぞ。それにすぐに認識するのは各社共通だろ。とツッコミをいれたくなった。この程度のセールスしかできないから、みんなネットでよく調べてサウンドハウスで買うんだよ。ここの店員ってみんなこのレベルなのか?

俺がもし店員の立場だったら・・・。

「お。ぼんず。アニソンでもつくりたいのか?それともボカロか?」と気さくに話しかけて、

「いやワンオクみたいなのがやりたいんです」と照れくさそうにいう少年に。

「そうか。じゃCubaseがいいぞ。予算はいくら?」

「5万です。」

「じゃstudio oneだな。あとオーディオインターフェースは最低15万出せ。いいかぼんず。DTMってのはな、道具でケチっちゃだめだ。最低限PC代込で30万は用意しろ。アルバイトするか親の財布からくすねてこい。」


これくらいのコミュニケーションは取る。だが、この店員ときたら、今あるしょーもないきいたこともないしょぼいオーディオインターフェースを売りつけようとしているし、わかってるのかわかってないのか、嘘ばかり教えている。初心者はこういう楽器屋で買ったらだめだな。と思った。


かつて楽器を売るっていうのは、カルチャーを伝えるってことだった。この場所にはカルチャー含有度ゼロだと思った。どっかカルチャーを感じる楽器屋ないのかな。