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作曲以前にやっておいた方がいいことの一つに録音というのがある。俺が子供の頃に親がラジカセを持っていて、それにカセットテープを入れて、赤い録音ボタンを押すと本体に付属したコンデンサマイクで周囲の音を録音できた。

子供は大抵それで最初は自分の声を録音したりする。そして大抵自分の声が自分の耳で聴くものと違うのに驚く。

そして、録音は声だけではなく、周囲の環境音や生活音をも収録できることに気がつく。それは普段聴いているはずなのに、聞こえてない音に気がつくことでもある。音を捕まえて観察することは驚きに満ちている。

俺は録音の魅力に取り憑かれ、友人とラジオ番組を作ったり、ラジオを録音してコレクションするようになった。

今DTMを始めようという人は、そういう経験なしにいきなり作曲を始める人多いんではなかろうか?それで挫折する人は大抵、売り物と同じものを最初から作ろうとして、その完成までの道のりがあまり遠いことにおののいてやめる。

だが、DTMの前に録音で遊ぶというのをやっておくと、色々カンが養われる気がする。例えば、もっとも簡単な楽器、自分の声を録音するといい。自分の声はあらゆる音を模写することができる。鼻歌でリズムや歌を録音する。それを聴く。それだけでいろんな発見がある。

DTMに使われている楽器もサンプリング(標本化➡︎録音)されたものを加工して作られたものがほとんどだ。プログラムで音を生成するシンセは別だが。録音がなんとなくわかれば、音響を操作するエフェクターのことも想像がつくし、マイクとの距離で音のレベルが違うことを知ればSN比のこともわかる。そんな感じで前提知識が割と短期間で学べる。

そして何よりも録音すること、そのものが制作なのだ。ただ録音ボタンを押すだけで絶対にオリジナルなものが作れる。つまり表現することの楽しさが学べるというわけだ。